第3章 Tera計算1_出荷データ分析

第1節 EIQマトリクス計算

出荷データ分析の核心である「EIQマトリクス計算(分析集計)」について解説します。

1. 従来計算とEIQマトリクス計算の違い

従来の物流分析(ABC分析等)と、Tera計算が提案するEIQマトリクス分析には決定的な違いがあります。

2. EIQマトリクス表から読み取れること

この表を活用することで、物流センターの具体的な仕様検討が容易になります。

3. ランク記号の読み方

混乱を防ぐため、集計対象を一目で判別できるルールが設けられています。

例:「CケE_A1」

→ つまり、ケース出荷の出荷先ランクA1であることを示します。

4. 分析操作の手順

Tera計算1の画面では、以下の手順で分析を処理します。

  1. 特性の選択: 出荷日指定、または「ケース出荷最大日」などの特性からターゲット日を選択します。
  2. 区分と単位の指定: ケース/バラ、実数/比率、表示単位(バラ・容積等)を選択します。
  3. 条件抽出: アイテム区分や出荷区分などのチェックボックスで対象データを絞り込みます。
  4. 実行: 開始ボタンをクリックし、結果をデータグリッドビュー(表)に出力します。

所見と留意点


第1項 従来計算とEIQマトリスク計算の違い

Tera計算では、ABC分析手法で集計する計算を従来計算と呼んでいる。ABC分析はランクを3分割でアイテム別集計と出荷先集計をしているが、Tera計算はランクを5分割でアイテム別集計と出荷先集計をしている。

従来計算は、アイテム集計と出荷先集計の各項目の合計は同じだが、アイテム集計と出荷先集計との関連性は無い、したがって従来計算は、この二つの表からアイテムランクA1の商品がどのような出荷先ランクに配分されているか解らない。配送センター規模・運用方法検討や各工程の物流量を計算するときに出荷先とアイテムを関連付けたデータが必要になる。

Tera計算は「アイムランクと出荷ランクを関連付けて、アイテムランク5*出荷ランク5=25ブロックに区分し集計する方法を提案している、Tera計算ではこの集計表をEIQマトリクス表と言う。また、Tera計算は同じランク区切りで行数(出庫回数)、バラ数、ケース換算、PL換算、容積換算、重量換算を表示出来る。

このEIQマトリクス表により例えば、出荷作業エリアフロー棚のアイテムA1ランク商品は、何回ピッキングして、総バラ数は幾つか、その時の容積は幾つか、出荷コンテナは何個必要か、保管エリアからフロー棚の補充は何ケースになり、保管エリアから混載PLで運んできたとき何パレットになるか、容易にEIQマトリクス表から読み取ることができる。

EIQマトリクス表の表示単位バラはバラ数、ケースはケース換算、PLはPL換算、容積は容積換算、重量は重量換算を意味している。今後、バラ数以外の物量単位は全てバラ数から換算された換算単位であることを留意して頂きたい(ケースと言う表現が有ったらケース換算と言う意味)。

前記にEIQマトリクス表は5*5=25のブロックに分けた集計表であることは述べたが、横計は出荷先物量の集計で、縦計はアイテム物量の集計である。もし、EIQマトリクス表が表示単位をPL換算した場合、横計は従来計算アイテム集計のPL換算と合致、縦計は従来計算発送先集計のPL換算と合致する。マトリクス集計と従来計算はリンクしており常に同じ内容を表示する。発送先数・アイテム数においても同様である。

EIQマトリクス表の概念 EIQ表の概念

EIQ表とEIQマトリクス表の違い

本来は、どのアイテムがどの発送先に行っているかの物量をみてシステム設計を行うのが筋で、鈴木震先生はこれをEIQ表として紹介している。確かに発送先数50程度、アイテム数100程度であればEIQ表作成し検討することは可能。しかし、今回の出荷データのように、発送先400以上でアイテムは4000以上あるEIQ表は8畳の広さには収まらない表となってしまい、とても読み切れない。

Tera計算では、EIQ表をランクでグループ分けした集計を考案し、これをEIQマトリクス表と呼ぶことにした。

また、EIQ表を点で表示して散布図にする方法がある。発送先400・アイテム4000は図にし、PC画面上で横スクロールして、視覚的にEIQ表の散らばりを見ることが出来る、Tera計算では、この図をEIQ散布図(Tera計算4_参考EIQを参照)と呼ぶことにした。

次に、鈴木震先生が考案されたEIQグラフを紹介する。このグラフは、発送先の物量累計・アイテムの物量累計を曲線で、発送先出庫回数とアイテム数出庫回数を棒グラフで、一日の物量を一つの図で表現している(Tera計算4_参考EIQを参照)。

EIQ表及びEIQグラフは別の著作物で確認頂きたい。

第2項 従来計算とEIQマトリスク計算の関係

従来計算とEIQマトリクス計算の関係

従来計算は出荷先集計とアイテム集計を別々に集計するため出荷先集計とアイテム集計の関係が解らない。

EIQマトリクス集計は、出荷先A1ランクのアイテムA1ランクの物量が解り、出荷先とアイテムの関係を持たせた物量が集計されている。

所見:このEIQマトリクス表により、各アイテムランク(設備機器)から出荷先ランク(出荷エリア)にどれだけの物量が流れるか掴むことが出来る。

抽出条件での表示

EIQマトリクス表は、抽出条件を指定して、抽出条件に該当するデータを表示することが出来る。

ケース出荷アテムのA1ランク、ケース出荷出荷先のA1ランク、バラ出荷アテムのA1ランク、バラ出荷出荷先のA1ランクなど、集計表見て混乱することが多い。この混乱を無くするためにランク記号を見たときに表の内容を判別できるよう工夫している。

ランク記号「CケE_A1」の意味は、1文字目、「C」ケース出荷と「B」バラ出荷。2文字目、ランク分けに使用したデータ項目、「行」行数(出荷回数)、「バ」バラ数、「ケ」ケース換算、「PL」パレット換算、「容」容積換算、「重」重量換算。

3文字目、「E」出荷先ランク、「I」アイテムランク。4文字目、「A1」A1ランク、「A2」A2ランク、「B」はBランク、「C」Cランク、「D」Dランク。したがって、ランク記号「CケEA1」はケース出荷、ケース換算を元にランク計算、出荷先ランクのA1ランクを表している。

所見:EIQマトリクス表を切り取り、別の資料に張り付けるときは切り取った表の上部に「出荷方法(ケース出荷)」「出荷日(2022/05/09)」「表示単位(ケース)」を併記しないと,何の集計か解らなくなるので注意する。

第5項 データ分析集計

Tera計算1の最初の画面。

Tera計算1 データ分析画面

(A1)でラジオボタン出荷日をクリックすると出荷日を指定して集計、ラジオボタン特性をクリックすると行数最大日・ケース出荷最大日・バラ出荷最大日の特性を選択可能。

(A2)ラジオボタンでケース出荷かバラ出荷の一択選択。

(A3)ラジオボタン表示単位から出荷回数・バラ等6種類から一択選択。

(A4)ラジオボタン実数・比率%を一択選択。(A1)―(A4)の選択後、(A5)開始ボタンをクリックして処理を開始。

(A6)のテキストボックスに処理状況を表示。

計算処理後、(B1)に出力するケース出荷・バラ出荷区分を表示、(B2)に出荷日、(B3)出荷先数、(B4)アイテム数を表示して、(B5)データグリットビュー(表)にEIQマトリクス表を出力する。

マトリクス表は実数と比率%が表示できる。A比率%は抽出後の合計(実数合計)を100%として、B比率%は出荷日全量の合計を100%として各ランクの比率を表示する。

(C1)は出荷データの4つの出荷条件項目からチェックボックスを使用して対象を選択(複数選択可)。チェックボックスのチェックが無い項目のデータ(出荷データのレコード)を排除してEIQマトリクス表の計算を行う。

(C3)EXCLE出力はEIQマトリクス表をEXCLE出力する。


第2節 機器設備の割付

出荷データ分析後のステップである「物流機器設備の割付と物量フローの確認」について解説します。

EIQマトリクス計算で導き出したブロックごとの物量に対し、具体的な物流機器を割り当てることで、設備の必要面積や処理能力を算出するプロセスです。

1. 物流機器の割付手順

Tera計算1の画面上で、アイテムランク(流動性)に応じた最適な機器を設定します。

2. 物量フロー図による視覚的確認

入荷から在庫、出荷に至るまで、どの機器をどれだけの物量が通過するかを一覧で確認できます。

3. 表の読み方(例)

具体的な集計結果は以下のように読み取ります。

例:「PL_AS/RSより合計89PL出庫され、仕分機に60PL、手仕分けエリアに29PL搬送された」

このように、上流の保管設備から下流の作業工程への物量バランスを明確に把握できます。

第1項 物流機器の割付

EIQマトリクス表に物流機器を割付ることにより、物流機器の必要面積や必要処理能力が計算できる。

1.物流機器設備選択欄(左記図)で機器設備を指定する。

2.下記表のセルをクリックすることでそれぞれのアイテムランクに機器が割付けられる。

(開始時Tera設定で割付済みなので機器変更作業となる)

物流機器設備の割付 割付結果の表示

表の読み方は、PL_ASSより合計89PL出庫され仕分機に60PL、手仕分けに29PLに搬送されている、と読む。

第2項 フロー図で確認

入荷から在庫、そして出荷に至る物量を一覧で表示。

物量フロー図

ケー単位出荷とバラ単位出荷選択。入荷はどの物流機器設備に保管される。アイテム数と保管単位(PL単位・ケース単位)を表示。また、容積換算での表示も可能にした。

在庫機器に保管するアイテム数とバラ数、バラ数をケース換算・PL換算など各換算値を表示。保管されるPL荷姿を単載から8混載まで表示。

在庫された商品が出荷作業エリア機器設備を経由して出荷されるか、出荷先数・アイテム数及び出庫回数とバラ数を表記。バラ数の換算の表示している。

入荷と出荷の相関図

入荷した商品がPL単載(パレットに1アイテム積載)の時は、機器設備の空き棚にPL単位で保管され、入荷した商品がケースの時は、混載保管(パレットに複数アイテム積載)されることが想像できる。

出荷作業エリアの機器設備へ物量は、上記図、「出荷量」欄の選択と同期して、「出荷作業エリア物流機器」の表記単位が変わる。


第3節 出荷データと入庫・在庫の関係

出荷データから在庫量や入荷量を導き出すための基本的な考え方と計算ロジックについて解説します。

1. 出荷・入荷・在庫の基本関係

物流センターにおける物量の流れは、以下の数式で表されます。

累計入荷 - 累計出荷 = 在庫

2. 在庫数(保管数量)の推定ロジック

Tera計算では、安定した運用時の在庫量を以下の式で算出します。

$$安定運用時在庫量 = 安全在庫 + \frac{変動在庫}{2}$$

※ 変動在庫 = 最大在庫 - 安全在庫

3. 出荷データに現れない「死蔵在庫」の扱い

全ての在庫アイテムが分析対象の出荷データ期間内に動くわけではありません。特に低流動品は出荷実績がゼロの場合があります。

これまでのステップで、出荷データから「動いている物量」だけでなく、「眠っている在庫」も含めたセンター全体のボリュームを推定する準備が整いました。

第1項 出荷と入庫及び在庫

入出庫及び在庫は「累計入荷ー累計出荷=在庫」と言う関係で表すことが出来る。

出荷は顧客からの注文であるから、配送センターの都合で出荷量増減や納期変更することはできない。在庫は日々変動する出荷量に対し欠品を起こさない量を確保する必要がある。一方で在庫コスト削減と配送センターの規模的制約から、出来るだけ少ない在庫量としたい。

在庫はアイテムごとに平均出荷量*何日分=最大在庫量という計算で管理されている。

入荷は在庫量を確保するために、仕入れ先に発注し配送センターに納品させる業務であり、配送センターが数量や納品日時を指示できる(本当かな?)。出荷データから入庫:在庫を計算す療法はTera計算の在庫量推定及び入荷量推定を参照。

第2項 出荷データに載らない(出荷していない)在庫品

全出荷データ(複数出荷日)に含まれていない在庫アイテムがある。

出荷データに載らない在庫品

高流動アイテムは出荷データに含まれているが、低流動品アイテムは出荷データに含まれない可能性がある。

Tera計算ではこの全出荷データ引き当て無しアイテムを在庫計算や入荷計算時にDランクに加算して計算。

注:バラ出荷にのアイテムDランクに加算、ケース出荷には加算していない。

第3項 在庫数(保管数量)の計算

全出荷データ(複数出荷日)に含まれていない在庫アイテムがある。

在庫は「累計入荷ー累計出荷=在庫」と言う関係で表すことが出来る。出荷は顧客からの注文であるから、配送センターの都合で出荷量増減や納期変更をすることはできない。在庫は日々変動する出荷量に対し欠品を起こさない量を確保する必要がある。

一方で在庫コスト削減と配送センターの規模的制約から、出来るだけ少ない在庫量としたい。在庫はアイテムごとに平均出荷量*何日分=最大在庫量という計算で管理されている。

入荷は在庫量を確保するために、仕入れ先に発注し配送センターに納品させる業務であり、出荷は出荷日や出荷量を変えることは出来ないが、入荷は配送センターが数量や納品日時を指示できる。上記前提のもとに出荷データからTera計算で在庫量推定及び入荷量推定を行う。

在庫数計算

出荷量/日は、全データの平均値を使用。

Tera計算が在庫保管量を求め方法は安定運用時在庫量(保管量) = 安全在庫+(変動在庫/2)、変動在庫=最大在庫-安全在庫。

例えば最大在庫日数11日、安全在庫日数2日、変動在庫日数9日のアイテムが18アイテムあるとする、この18アイテムを毎日3アイテムづつ入荷させると変動する在庫の保管量=(変動在庫/2)となる。

もし、定運用時在庫量(保管量)計算は、実務では無理と思われるなら、上記計算後に余裕率を付加すればよい。

注;在庫物量計算に発注点は関係ない、発注点は発注してから入荷される期間の在庫量を保証できるタイミングで仕入発注する在庫量。


第4節 在庫及び入荷計算

出荷データから在庫量や入荷量を導き出すための基本的な考え方と計算ロジックについて解説します。

1. 出荷・入荷・在庫の基本関係

物流センターにおける物量の流れは、以下の数式で表されます。

累計入荷 - 累計出荷 = 在庫

2. 在庫数(保管数量)の推定ロジック

Tera計算では、安定した運用時の在庫量を以下の式で算出します。

$$安定運用時在庫量 = 安全在庫 + \frac{変動在庫}{2}$$

※ 変動在庫 = 最大在庫 - 安全在庫

3. 出荷データに現れない「死蔵在庫」の扱い

全ての在庫アイテムが分析対象の出荷データ期間内に動くわけではありません。特に低流動品は出荷実績がゼロの場合があります。

これまでのステップで、出荷データから「動いている物量」だけでなく、「眠っている在庫」も含めたセンター全体のボリュームを推定する準備が整いました。

第1項 在庫入庫計算画面

在庫入庫計算画面

1.最大在庫日数及び安全在庫日数をランク別に入力。

2.出荷データにない在庫アイテム数を入力。

3.計算のベースとなる1日の出荷量平均を計算出力。

4.安定運用時在庫日数を計算。安定運用時在庫量(保管量) = 安全在庫+(変動在庫/2)、変動在庫=最大在庫-安全在庫(第2節参照)。

5.安定運用時の在庫量を計算。在庫量は=1日の出荷量*安定運用時在庫日数。

6.アイテム当たり在庫量を計算。アイテム当たり在庫数=在庫量/アイテム数。

7.必要パレット換算数と単載・混載の判定。

パレット換算・判定

8.入荷アイテム数と物量計算。入荷アイテム数=在庫アイテム数/入荷サイクル、入荷物量=出荷物量、入荷容積算出(チェック用)。

在庫量ラジオボタンを押すと在庫量表示、入荷量ラジオボタンを押すと入荷量表示。

9.Excelボタンをおすと、在庫・入荷データがExceh保存l。

上記は、バラ出荷を例に説明、ケース出荷も同じ計算をする。注: 出荷に含まない在庫はバラ出荷に組込み、ケース出荷は出荷データにない在庫は0としている。

所見

「在庫=累積入荷-累積出荷」、前記したが、アイテム単位に出荷傾向を見ながら入荷量を管理することががポイントではあるが。生産ロット、仕入れ量による価格変化。 営業戦略による先行仕入れなど入荷量を制限することが出来ない要素がある。

全社的に見て配送センタの在庫減少が最優先では無く、入荷物量を決めるのは営業部門・仕入部門の調整によるよるもの、まさに全社的な管理能力が在庫に反映される。